ビジネスにおける通訳の役割は相手の言った言葉を一字一句正しく伝えるだけではありません。
さらに言うと、必ずしも言葉を正確に訳す事が正しいとは限りません。
ビジネス通訳をする場合は相手が話した言葉の『意味』を理解するだけではなく、相手が何を言いたいのか『意思』を理解する必要があります。
日本人通訳者であれば日本人の言いたい事(意思)を理解する事にほとんど問題はありませんが、中国人通訳者の場合は日本人とは文化的背景や価値観が違うため十分な意思の理解を得られない場合があります。
こう見るとビジネス通訳には日本人通訳者が良いと思われますが必ずしもそうではありません。日本人通訳者でも中国人とのビジネス経験が足りない場合は通訳の際に中国人に誤解を生じさせる事があります。
優秀な通訳者は中国人に話をする時には相手(中国人)が受け取る意味を考えて言葉や表現を選びながら通訳します。必ずしも日本人が話した言葉を直訳するとは限りません。
ゆえに日本人の意思をしっかりと理解できて、なおかつ中国人の語感を持っている通訳者がビジネス通訳には向いています。
一般的に優秀な語学資格と言われている
中国人の持つ “日本語検定1級” や 日本人の持つ “HSK8級”
というのは中国ビジネスの商談においてはあまり信用のおける基準ではありません。
極端に言えば日本語検定2級程度の中国人、もしくはHSK6級程度の日本人で、実戦のビジネス経験がある人の方がビジネス通訳には向いています。
ただし、もしあなたが中国人との商談に慣れていて
・相手(中国人)の言っている言葉の本当の意味を理解できる
・どの様に相手(中国人)に話せば意思が伝わるのか分かる
のであればビジネス経験の無い通訳者を使ってもスムーズに交渉が進められるはずです。