これまでに何度か述べてきましたが、中国(香港、マカオ、台湾、を除く)では何の事業をどの様に進めるのか見通しが付かない状態での法人設立は大きなリスクと後々の無駄なコストを招きかねません。
そこでまずは香港に法人を設立し大陸進出への準備を整える事をお勧めします。活動拠点を大陸側において、市場調査をしたり潜在および既存のお客様を訪問してどの様な形が自社にとって一番ベストな中国進出なのかをしっかりと見極めます。
また活動で発生した家賃や交通費などの経費は香港法人で経費処理が可能で、法人設立当初は経費のみの赤字決算でも後々商売が良くなった時まで損金を繰り越す事が出来ます。
さらに実際に中国大陸で行うビジネスの方向性が固まり、いざ大陸内に法人を設立するとなった場合には香港法人からの出資で中国法人を設立されると手続きが比較的容易になります。
例えば中国での法人登記において出資者の資料提出を要求されますが、日本の会社が出資者になる場合には会社の登記簿謄本等の資料を中国語に翻訳し日本の外務省および中国大使館にて認証を受けないと正式なものとして認められません。
しかし香港の会社が出資者になる場合、香港の書類は中国語と英語で併記されているため翻訳の必要がなく、また公証の手続きも香港の弁護士事務所が行えるため書類の準備が容易になります。
以下に、2009年度における対中国向け投資額の国別ランキング(2010年度、JETRO発表)を示しますが
1位 香港 US$540億
2位 台湾 US$66億
3位 日本 US$41億
4位 シンガポール US$39億
5位 米国 US$36億
香港からの投資が非常に多くなっています。2位の約8倍の金額です。
ここで考慮すべき点ですが、香港からの投資は実は純粋な香港企業の投資だけではなく、外国人や外資系企業、さらには台湾や大陸の企業までもが香港法人という器を利用して中国への投資をしている事です。
それでけ香港を利用した中国投資に利点があるからであり、その結果中国への投資を支える周到なサービスの仕組みが香港には出来あがっているのです。