中国(香港、マカオ、台湾、を含まず)は政治的には統一された一つの国ですが、経済的には多くの国が集まっているEUの様な状態です。
地方の違いによる収入格差もあれば、物価格差もあります。また飲食等文化の違いも存在します。例えば重慶市という所に行くと街の至るところに麻辣火鍋という地方独特の鍋料理屋が数多くあり、その地方だけで百店舗以上のチェーン店が展開されているケースも珍しくありません。
しかし広東省の深セン市ではそれほど多くの麻辣火鍋屋はありません。四川料理や重慶料理の一つとしてたまに見かける程度です。
これはそこに住む人が日常的に食べる習慣があるか無いかの違いです。重慶では多くの人が頻繁に食べますが深センでは地方料理(外省料理)としてたまに食べる、もしくはその地方出身の人がよく食べるかだけだと思われます。
ゆえに食品販売やレストランを経営される方は地方による味の趣向の違いを考慮する必要があるわけです。
さらに地方の違いを表す例として、メーカー工場の進出先として中国を見た場合、以下の項目でもって各地域の違いを比較する必要があります。
1.市場(お客さん)の場所
2.サプライヤー(部品加工などのメーカー)の存在
3.外資系企業の受け入れ態勢
4.必要人材の確保及びコスト
5.移動、運送の利便性
6.法人設立及び維持コスト
7.生活環境、治安
これらの項目に優先順位をつけ、譲歩できる条件も考えながら進出にふさわしい場所を決めて行きます。
上記の条件を満たしている場所として今までは以下の6地域が中心となっています。
全て中国の沿岸部です。
・大連を中心とした遼寧省
・北京・天津
・青島を中心とした山東半島
・上海・蘇州を中心とした長江デルタ
・アモイ・福州を中心とした福建省
・深セン・東莞・広州を中心とした珠江デルタ
最近では台湾系や香港系の企業を中心に人件費や物価の安い湖北省、湖南省、陝西省等内陸部への展開が見られていますが、それ以外の外資系企業の中国進出は目下のところやはり沿岸部が多くなっている状況です。